社長……類司さんは、背後からホットココアを取り出した。


「ココアじゃなくて、僕が暖めてあげる~」


わたしの体の向きを変えて、唇を数回重ねた。


「る、類司さん!す、スーパー行きましょ?足りない材料が」


類司さんは、パッと体を離して、手を恋人繋ぎにした。


「いいよ~。今日だと、サンサンスーパーが特売やってるよね。近くにマルスイーツもあったし」


「はい。じゃ、サンサンスーパーに行って、マルスイーツでデザートを買いましょうか」


類司さんは、ニッコリと笑う。


「何がいいかな~。クリームパフにフルーツロール、マカロンと……」


類司さんは、車の鍵を解いて、助手席のドアを開けた。


「ありがとうございます」


わたしが座ると、運転席に周り、座るとドアを閉めて、手早くシートベルトを締めた。


もはや、頭の中はスイーツ。


きっと、わたしの事はなくなってしまった……はす。


わたしもシートベルトを締めて、携帯でアーティストのスケジュールを再度確認。


問題が起きない事を祈った。