。*10月* 。

私の名前は加賀美実奈(かがみ みな)。
中学2年、部活は帰宅部、得意教科は体育。
自分で言うのはおかしいけど、足が早い

そんな取り柄しかない私に好きな人ができた。
人を好きになるとこんなに学校に行くのが
楽しくなるなんて思わなかった。

好きといっても自分からはアピールしないけどね。
好きな人を授業中眺める。これが私の楽しみでもある。

この事を知っているのは、親友の桜井七奈美だけだ。
七奈美はよき相談相手でもあって心を許せるそんな仲。
私はいつも七奈美と一緒だ。
下らないことで騒いだり、笑ったりそれだけでも
私にはとっては充分楽しかった。

前の私からすると恋なんてあり得なかった。
恋なんてしなくていい。自分が悲しむだけ…
って、思ってた。
周りの子は彼氏と別れて、泣きじゃくっていたり
そんな光景を見て恋愛の残酷さを知った。
内心『バカだな…』しか思わなかった。

だけど、今は人を好きなることがどういう事なのか
気持ちがわかる気がした。

私の好きな人の名前は坂城唯斗(さかき ゆいと)
男女問わず人気者だ。
笑った顔、残念そうな顔そんな唯斗を太陽みたいだと
思った。

そんな呑気な事を言っていた間に授業が終わり
今は、休み時間。 七奈美が聞いてきた。
『もしさ唯斗に彼女ができたら実奈はどうするの?』
七奈美のいきなりの質問にびっくりして一時停止。
そんな私にお構い無しに聞いてくる。
『唯斗、女子からも人気あるんだからいつ彼女できてもおかしくいんだから、実奈もアピールしなきゃ!!』
『後悔するの嫌でしょ?』
まあ、確かにそうだ。 クラスの女子みたいに
自分から話しかけたりしないし
むしろ興味ないって感じととられてもおかしくはない。

考えていると…

続けて七奈美は言う。
『急げとは言わないよ!実奈のペースで話しかけたりすればいいんだよ』
それに、私は
『七奈美ありがとう。いきなりは無理だから徐々に話しかけるようにするね。ありがとう』

話をしていると、チャイムがなった。

次は2時間目、学活

今日は確か席替えのはずだった。
心の中で『唯斗の近くになりますように!』
お願いしていた。