黒の革表紙をパラパラとめくり、あるページを開いた。
「あの時の借りは返させてもらうよ、バース…」
そして男はフローラの街を見下ろした。冬に近付きつつあったその土地に冷たい風が吹いた。
「まずはあの街にしよう」
男が街を指差した瞬間、本が光り輝き、背後の扉から雄叫びを上げて数十匹の魔獣が飛び出し、丘を駆け下りてフローラに向かう。
それを見た男はニンマリと笑みを浮かべ、満足した。
もうすぐこの世界が自分のものになる事に。