「あんた私を幸せにするために来たんでしょ?だったら手伝ってよ!」
「いや、しばらくはいいわ」
その言葉に私は目をむいた。べリアルは体を起こし、前髪を払った。
「ここ結構居心地いいし。おいお前、幸せになんじゃねぇぞ」
「………天使の言うことじゃないよねそれ!」
なんてやつ!私は怒りで震えた。それだったらこいつが私を幸せにしてどっかいってくれるのはまだまだ遠い未来のことになってしまう。この奴隷生活の延長上が見えた。
「とにかく!お風呂なら自分でためて!」
きつく命令し、私は皿洗いに戻った。ソースが簡単に落ちる。
べリアルは何も言い返さなかった。ちょっと言い過ぎたかな、と優しすぎる良心でテレビ方向へ眼を移してみると
「………へぇ~お前、好きなやついんだ」
ピンク色の表紙の本をペラペラめくっているべリアルがいた。

