『駄目だよ樹君』 放課後、彼女はすぐ立ち去らずせつなげな眼で僕を見つめていた。 やめてくれ、憐れんだ目で見ないでくれ。 『ほんとの自分を隠して生きてくなんて、つらいだけだよ』 『君に何がわかるのかな?』 はっきりといら立ちを表し、突き放した。理解してほしいなんて思わない。放っておいてほしい。 『なんにも判んないよ。人に分かってほしいなら、隠すことなく見せてあげなきゃ』 『わかってなんてほしくもないし、頼んでもない』