彼女の心が急速に離れていく音を感じた。 偽りの僕を嫌いなって当然だったが、男に嫉妬した。 僕が苦労して作り上げた壁を、簡単にけ破りその先に進むその男が嫌いだった。 どこか可笑しかったのだろう。 やはり本来の自分とは違う己を演じているのだから、少々誤差が生じていたのかもしれない。 今となってはどうでもいいのだが。 言いたいことは一つ、葉木さんが生きていくすべで大切なものを教えてくれたということだ。