「ほぅいいのか?この暮らしがなくなっても」
私の覚悟を見定めているような態度だ。
「別に」
べリアルのほうを向けず、ただ宙を凝視する。
「好きな人と一緒に暮らせて幸せじゃないなんて言える女になりたくないだけよ」
自信満々に断言してやると、アリエルがうすら笑いをやめ、細い眼を大きくして何度も瞬きをしだした。あっけにとられている、というのがぴったりな反応だ。
数秒後に、プルプルと震えだし、目に涙がたまっていく様子を今度はこっちが肝を突かれた思いで見守った。
次はせっかくの秀麗な面貌が破顔してしまい、部屋が爆笑の渦に巻き込まれた。

