「頼む………!」 べリアルが誰かに頭を下げかねない勢いで頼むのは初めて見た。 膝の上で握りしめられた拳が可哀そうなほど痙攣を起こしていた。 「………はて、どうするか。教えてやっても私に得などない」 「だったら言うんじゃねえ!」 「貴様がそういうのなら………」 不気味なほど黒い顔立ちになった。私はその表情におびえさえする。天使がしていい顔じゃない。 「無価値なもの。それがこの弟の名の由来だ」