「なぁべリアル。貴様はなぜこの娘だけに己が名を呼ばせる?」 ねちっこい語調に、べリアルは震えていた。 「汚れた名を、どうしてこの娘だけに呼ばせるのかと聞いている」 「けっ汚れた名………?」 「お嬢さんは知らない様だぞ?貴様の名の意味を」 名前の意味など考えたこともない。生まれたときから一生付き合っていくものの定義など考えても仕方がないのではないか。 だがべリアルとその兄はそうは思わないらしい。 「言うなよ………!」 こらえるよう言い方に、思わず私は顔を横に向ける。