激昂するべリアルを片手で制し、微笑み返す。
「べリアルが来てから毎日が楽しくなりましたし。一生懸命お手伝いしてくださっています」
アリエルは、面白げにとがった顎に指を添えた。
「べリアル………と?くっくっく………まさか名を呼ばせているとは………弟は心から貴方を信頼しているようだ」
「どっどういう意味ですか?」
「そこの腐りきった弟はめったに己の名前を呼ばせることすらせず、ブラッハーというので済ませてしまうことが多くてな」
ふと最初の頃が思い返される。月緋にも不良達にも樹君にすら呼ばせぬ名前の秘密。知りたい。彼のことはすべて。

