だが今日、この燃えたぎる怒りと冷静な推理力の前では「気にしない」という選択肢の威力は皆無に等しい。 少ししてから、自室で恒例のごろごろタイムを過ごしているらしいベリアルを急襲した。 「ちょっとベリアルー!?用があんだけどー!」 トイレにこもった父親に怒鳴るような口調で、木製のドアをばしばし叩く。すぐヘッドフォンを装着したベリアルが戸惑った表情で顔をのぞかせた。 前、あまりにコンポでの音楽鑑賞は近所の反感を買ってしまったので、ヘッドフォン装着を命じたのだ。