「おいナギサ!」 帰宅途中、べリアルが興奮したように私の腕を掴んで引きとめた。 急ブレーキをかけ、少し怒った顔で振り向く。 「なに?もうこんな時間なんだけど」 落陽の時刻となった今でも人波は途絶えないが、ここから家まで遠いので早めに帰っておいたほうがいいと提案したのだ。 べリアルもそれを呑んだはずなのに、なぜ引き留める? 何か面白そうな店でも見つけたのか?