「僕は葉木さんが好きです」 淡々と恥ずることなく自分の想いを述べた樹に、目を丸くする。 「ずっと前から。彼女が僕を想う前から想い続けていたでしょう」 「………ずいぶんと自意識過剰なこったな」 皮肉を混ぜたつもりだったが「あははっ」と軽く受け流された。 「ナギサの人物像とまったく違ってるようだがな」 「残念ながら彼女が思っているような、爽やかで優しい僕ではありませんが、彼女を愛する気持ちは本物です」 飄々とふざけていた樹だったが、ここだけ目つきが真剣だった。