「あっ閉められてるんですけど!」 「どれ」 背後に立ち、先にドアノブを握っていた私の手の上にかぶせられた白い手。 「っうわ!触るな変態!」 静電気がきた時と同じような素早さでドアから飛びのき、驚異的なスピードでバックする。 この屋上はずいぶん前から使われていないようで、コンクリートがところどころ破損していたせいか、凹凸に踵がはまってしまった。 がくりと膝から力が抜け、重力に身を任せそうになる。