準備を済ませた私がリビングへ戻ると、何食わぬ顔で出来上がったトーストをかじっているべリアルがいた。
端正な横顔は真正面にあるテレビの液晶にくぎ付けになっている。
なんだか今日はおとなしくしてくれそうだ、と私はばれないように息を吐いた。このまま静かにテレビを見ていてくれたら電気代など高くついてもいい。
「………なにボーとしてんだ」
怪訝そうに今月の出費について考えている私を呼んだ。
「べっつに」
「とっとと食えや。さめるぞ」
どうやらこの男、寝起きは毒舌を吐く思考を持っていないらしい。まだ目がトロンとしている。早起き天使は大変だ。
「はいはい」
朝は安全だな、私はそう思いつつ自分の席に着いた。

