「ちょっとすみません。タイムいいですか?」 すかさず樹君が手を頭の位置まで上げ、審判に申告する。 審判は深くうなずき、敵チームに小休憩を告げる合図を送った。 その間、樹君が両ひざに手を置いて心配そうに上から顔をのぞいていた。 「大丈夫?葉木さん」 「あっまあ大丈夫かな?」 彼に心配をかけるわけにはいかないので、ひきつらせた笑顔でそう答えた。