「………ソウさ。俺、今気付いたんだけど」 ガクが漏らすように呟いたので、顔をあげてみる。 いつも陽気で明るい奴はそこにいなくて、神妙な顔で俺を見据えていた。 「お前って母親のこと恨んでなんかねーんだなほんとは」 その一言は俺の思いを簡潔に的確に表している。 ああ、と呻くように頭を垂れた。 今までこんな茶番に付き合ってきて損したわ、とでも言われるのかと思った。仕方がないとも。