そんな宙ぶらりんの状態を兄貴は気に入らなかったのだろう。 やるなら思いっきりやりやがれ! その言葉が脳内でエコーし、何度も繰り返される。 「………俺は、俺はただ母さんや親父に………!」 聡志って呼んで欲しかっただけなんだ。 それが叶わぬなら名前なんていらなかった。友人に呼ばれるのとはわけが違う。本当の愛情を込めた声音で呼んで欲しい。 認めてみると意外にも心の内がすっきりした。