「ねえ。それはおかしいよ」 はっとソウを現実に戻したのは唐突に呼びかけてきた私の声だった。 話が終わるまで黙っていようと思ったが、ソウの口から自嘲が出てくるたびに言い出したい衝動に駆られ、我慢の限界がきてしまった。 途中で中断させられたのに不満そうな顔すらせず、「なにか?」と無表情で聞いてきた。 私は言い淀んでいたが、早くとせかすような瞳に背を押されて 「悪いけど、名前を変えてもソウはソウじゃん。ソウは聡志だし、聡志はソウ。あんたはあんただよ」