『聡志!』 その名前で呼んだガクも馬鹿だが、それに反応してしまった自分はもっと阿呆だと思った。 『聡志ぃ?お前確かソウじゃなかったか?』 兄貴はそう怪訝そうに呟いて地の伏せている俺の顔を覗き込んできた。 俺のとは違った真っすぐできれいな漆黒で。 不覚にも少し見とれてしまったが、すぐに目つきを鋭くして無言で対応した。 『………なるほどねぇ。親に捨てられて、か』 瞬時に俺の境遇を明確にした兄貴に、俺はとてつもない恐怖を覚えた。