はぁ………。地獄の鬼ごっこの後に残ったのは、疲労と荒い息使いだけで何の価値すらないものばかりだった。


「どうしたの葉木さん。朝から疲れた顔してるけど」


そんなナイーブな私を慰めるように肩を叩いてきたのは、大天使ミカエルもびっくり仰天!と叫び逃げ出して行きそうな微笑みを浮かべた樹君だった。


「あっううん大丈夫!ちょっと寝不足なだけで」


あたふたと髪がはねてないかチェックし体を起こす。


「ねえ。なんで昨日ブラッハーさんがいたの?」


唐突な質問にぴくっと肩を小刻みに揺らす。