いかんいかん。
樹君の前ではおしとやかで可愛い同級生を演じなければ。
「演じるってところでもう負けてるよな」
心の中を読んだべリアルを、ぎっと睨みつけ即座に無理やり笑顔を作った。
「あっああこっちは私の従兄のお兄さんで、べリア………ブラッハーだよ」
名前で紹介しようとしたが今度はべリアルに睨まれたので、あわてて言い直した紹介になってしまったが、心やさしい樹君はそんな小さいことを気にしない。
「ブラッハーさんですか?僕は成島 樹(なるしま いつき)と言います。葉木さんの同級生です」
深々と礼儀正しくお辞儀をされ、べリアルは幾分か戸惑った様子だ。

