「葉木さん。なんか久しぶりだね」 樹君はくったない笑顔のまま距離を詰めて、至近距離でほおを緩ませた。 サラサラの栗色の髪が、無邪気に吹く風で揺れている。 「あっうん!春休みだったからね!」 彼の前で変なことは言いたくなかったので、ありきたりな答えになってしまった。 そういえばそうか、と樹君はくすっと上品に笑い声を洩らす。 「部活の帰り?」 私の服装をさっと眺め、訊いてきた。