「なんだよその言い方!俺がホームラン打たなかったら、てめぇら負けてたぜ!」 「誰も打ってくれなんて頼んでないのよ!」 などなど。くだらない悪口の応酬を続けていると、背後から「葉木さん!」と男性にしては高いハスキーボイスが私の名が聞こえてきた。 ドキッと数センチ飛び上りながら、ぎこちなく後ろを振り返る。 そこには予想通りの男性がいて、月緋とは大違いの裏表のない笑みを浮かべていた。 「いっ………樹君!」 自分の声がなんトーンか上がったのを自覚していた。