やがてべリアルの肩より上にバットが構えられたころ、ピッチャーが振りかぶった。
べリアルは目つきを鋭くして、グリップに力を入れた。
ぶんっと手加減抜きの剛速球がピッチャーの手元から放たれ、まっすぐキャッチャーのグローブに収まる。
すっとらーいくっ。審判が高らかに宣告する。
べリアルは悔しそうな顔を一切見せず、ただ内心を探るようなまなざしでピッチャーを見据えていた。
そのまなざしに一瞬蹴落とされそうになったものの、流石月緋の下でいじめ………鍛えられただけある部員で、しっかり自己を保つことができた。
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