艶さでバッターの座を奪い取ったベリアルは、おぼつかないしぐさでバットを構えた。 ピッチャーは戸惑い顔でベリアルを見つめている。 複雑な心境で見守っているとピッチャーが私のほうへ視線を移した。 どうしますかこれ?と訴えてくる。 私はしばし考え、諭すように首を縦に振った。 ここで打たせてやらないと帰ってからこのことをネチネチ言ってくるだろうから。 賢いピッチャーも頷き、正面を見据えた。ベリアルが楽しそうに素振りをしている。