私はバッターボックスに立ち、お気に入りのメーカーのバットを握りしめた。
ここに立つと魂がうずくのを感じる。
他にはだれもいない、9対1の勝負。真剣な瞳でピッチャーが振りかぶったボールを私が打つ………その時の快感とこらえ切れない感覚は言葉に表せない。
ただ純粋な駆け引きに私の心はわき踊るのだ。
音がやんだ。いや無駄な騒音が世界から消えたようだ。ピッチャーが振りかぶった。やけにスローに見える。時を支配したように。
さぁ手元からボールが離れた。内角かな外角かな?いやこの子確かカーブできたっけ?だったら気をつけないと意表をついてボールかもしれない高めの球は見逃そうかでもそれじゃあなぁ
カッキ―ン

