あくまで天使です。



そいつ、真っ黒な長身男は私と目が合うと、何を考えてか手を振ってきた。


目を白黒させる私をのけて、黄色い歓声がグランドに湧き上がる。


「ちょっと!今こっちに向かって手振ったわよ!」


「誰か知りあい!?だったら紹介してー!」


悲鳴と叫び声が交差するグランドの中、月緋だけが私に音もなく歩み寄り


「あれ、ブラッハーさんよね?」


と冷静に腕を組んだ。


「………やっぱしそうだよね。べリアルだよねあれ」