「はっ!」 意表を槍で突いてきたべリアルに、私は後退してしまった。 そのキレのある掛け声とともに、ぶわさぁと眼前が白で覆われる。 天使の羽が部屋中に舞った。 白鳥が両翼を広げたときと同じような壮麗な光景が私の視界をくぎ付けにする。 先ほどと変わらない清らかな翼を後ろへ追いやり、べリアルは得意げに唇の端を指の腹でこすった。 「どうだ?これでも信じねぇってか?」 「そうだねぇ…………」 感動でいっぱいになった私の思考を 「掃除が大変かな?」 というなんとも現実的なことが覆い尽くした。