彼はむくりと上半身を起こして私を覗き込んだ。真摯な瞳だ。 机がガタリと音を立てたのは、彼が身を乗り出してきたからだ。 危うくカップが墜落しそうになる。 「………無理だって」 「理解力がねぇ女だな」 べリアルは憮然とした態度で胡坐を組み替える。そんなこと言われても無理だってば。 「なんならもう一回羽出してやろうか?」 彼は悠然と立ち上がり、鋭い瞳を瞼で隠した。背の高い彼がたつと、天井がちっさく見える。 しばしばの沈黙。