「あら。もうお昼ね」 月緋は柱時計を見て呟いた。重い腰を上げ彼女は立ち上がり 「そろそろお暇するわ。ナギサ、明日の練習は絶対に来てね?来なかったら………」 ぴっと親指をくびの前でスライドさせる。 それ以上何もいわず、彼女は緩慢な動きで玄関へ進んでいった。 やがてパタンと控えめに玄関のドアが閉められたと同時に、私は深い息を吐いた。 くたびれている私を、べリアルは気の毒そうに見て 「お前も大変だな」 といらぬ同情をしてくれた。