遂に立てなくなってしまった。

下に座り込んだ。


槍も下に落ち、握る力もない。


「……はぁ、…はぁ…。」


やっと唇を離したディル。


息が苦しい……。


コンコン…。


「レイ様報告がございます。入りますね。」


ミルの声だ。


ガチャ。


「あっ、ディル様もいらっしゃったんですね!では御2人に報告しま………。」


レイはディルがよそ見をしている時に渾身の力を振り絞って立ち、部屋から出た。


「レ、レイ様っ!?」


後をミルが追いかけた。

「逃がしてしまった……。」


ディルはボソッと呟いた。