健ちゃんのお母さんは強かった。

涙を見せなかったんだ。

あたしより辛いはずなのに。

あたしの前では涙を、こらえて・・・

「さやちゃん・・」

「はい・・。」

「これ、健の鞄の中にあったの・・」



白い封筒に さやへ 

不器用な健ちゃんの少し汚い字。

でも丁寧に書かれた字。

「・・ありがとうございます。」


健ちゃんのお母さんは優しくて

いつも優しくしてくれた。



お母さんが迎えに来て

家に帰ったけど

おかあさんはすぐに、

電話をして家を出た。