―当日―


「ご、ごめん……」

「別に俺も今来たとこだし…」


汰功はそう言って歩き出した。


や、やってしまった……

せっかくの汰功との初デートなのに

メイクが上手く行かなくて
10分も遅刻をしてしまった……


と、とりあえず話題を変えよう!!


「汰…汰功…?」

「何?」


汰功はいつも通り
私の方を向かずに聞き返して来る。


「何処に行くの?」

「…………」


うん?
返事が返ってこない?

何で…?

もしかして

私が遅刻したのに怒ってて
答えたく無いから……?


「……が…」

「えっ?」


が?


「映画に行こうとしてんだけど、嫌?」


え、映画…?

今日はイルミネーションを
見るだけじゃ無かったっけ……?


「イルミネーションまで時間あるし映画でも見ようかなと思って」

「えっ…?」


汰功?

びっくりした。


だってそう言った汰功の顔が
本当に本当に少しだけ

赤くなってたから。


「うん!!映画見に行こう!!」

「あっ…うん……」



それが少しだけ嬉しくて

無駄にテンションが上がった。