私はいつも夢を見た。


幼い頃からずっと。

何度も何度もその夢を見た。



夢の中の私は、幼い頃の私からすれば大人で、今の私からすれば同年齢くらいの私で。

何故かずっと泣いていた。


私が経験してるわけじゃないのに、夢の中なのにとてつもなく胸が痛くて。

締め付けられて、苦しかった。




涙は止まらずに溢れていく。

私はそれを拭おうともしなかった。

そのままひたすら泣いて、誰かの名前を呼んでた。



顔も名前も知らないけれど、きっと凄く大切な誰かの名を。



「置いていかないで…!」



そう叫んでいた気がする。







「―――――さん…っ!!」




名前の部分が聞こえなくて。






私の瞳から無数に留めなく落ちる涙は頬を伝い。




そして、手でかきむしる様にして抱いている血のついた浅黄色の羽織に。







―――一粒落ちて、染みを作った。