ラブリー生活

 私が竜輝に思いを寄せていた事は自分でも気が付いていなかった。
気付き始めたのは班の班長の直樹の一言だった。


 昼休みいつもの様に私はみんなと仲良く喋っていた。
この日は自分の恋愛話。
じゃんけんで順番を決め1人ずつ話す。
内容は恋バナなら何でもOK。
私は最後。
案外プレッシャーなんだけどみんな私の恋バナが1番気になるみたい。
みんなが話し、いよいよ私の番。
始めはみんなからの質問に答える。
その後詳しく話す。
私に聞いてきたのが今の好きな人。
私はいないと素直に言った。
でもみんな噓だと言って来る。
すると直樹が私に真剣に言った。
「杏、俺は誰かまではわからないけど、好きな人はいると思う」
「なんで?」
「喋っている時、時々1人の世界に行ってるから」
「1人の世界って何?」
「考え事。好きな人の。まあ家で考えてみれば」
「うん、そうする」
私は結局過去の恋バナをした。
みんな、興味津々で聞いていた。
話す方は恥ずかしいのに話させられる。
その後の授業はあまり集中できなかった。


 

 家に帰って部屋で直樹に言われた事を考えてみた。
今しゃべっている中で居るとしたら…。
考え始めて4時間経って寝ようとしたら竜輝が頭に浮かんだ。
心臓もドキドキしている。
そうして私は自分が竜輝が好きなんだと気が付いた。


 

 次の日朝早く起きて学校に行った。
私に気が付いた直樹が声をかけてきた。
「杏、おはよー」
「おはよー。直樹私わかったよ」
「マジで。良かったな」
「うん、ありがとう」
私はこの時直樹に感謝していた。
本当はいつから好きなのかは不明だけど、好きは好きなんだと気付けて良かった。
私に新たな恋が芽生えた。