第1章 再会
「夢ちゃ~ん。離れたくないよ~」
車の中で泣きながら叫ぶ一彦(かずひこ)。
「かず君・・・」
泣きながら手を振る夢(ゆめ)。

あれから10年
「う~~~ん、どっちにしよう?」
日本の高校に通う為に、アメリカから1人で日本に帰ってくるんだから何かプレゼントしないとね。
でも、10年も離れてたし、かず君の好み分かんないよ~(泣)
でもでも、日本に慣れるまで私の家で暮らすんだし、これからいっぱい知れば良っか!
そう思っていると、携帯がなった。
「もしもし?お母さん?」
お母さんからの電話はいつもお使いする物の追加だし、また何か追加かなぁ?
「一彦君が来たわよ!早く帰ってきなさい」
「えっ!?かず君が!?分かった!すぐ帰る。」
もうかず君帰って来たんだ・・・。
予定の時間より早いなぁ。
って、早くコップ決めなきゃ!!!
好みは分かんないけど、昔のかず君のまま育ってたら可愛く育ってるはず・・・。
え~い!悩んでもしょうがない!!!この可愛いのにしちゃえ!

ガチャ
「ただいま」
玄関を開けると誰も見当たらない。
あれ?どこに行ったんだろ?
急いで帰って来たのに・・・。
リビングにいくと、机の上に1枚の紙があった。
(お母さんとお父さんは、買い物に行っています。一彦君は、部屋にいるわよ。)
かず君は部屋にいるんだ!
ダダダダダ
急いで階段を上る。
かず君の部屋は私の部屋の隣。
見ると、かず君の部屋のドアにはもう『KAZURUUM』と書いている看板(?)があった。
コンコン
かず君の部屋のドアをノックする。
「どうぞ」
部屋の中から男の子の声がした。
10年前と比べたら、ちょっと低くなってるけど、たいして変わってない。
久しぶりのかず君の声に嬉しくて泣きそうになりながらドアを開ける。
「かず君!」
ベットの上で雑誌を読んでいたかず君が、雑誌を放り投げ抱きついてきた。
「夢ちゃん、会いたかった!」
「うん、私も会いたかっ・・・!」
“会いたかった”と言おうとした瞬間、いきなりキスをされた・・・。