「花火、きれいだね」
 
 みさこは、感慨深そうに言った。
 

 花火の光が、スポットライトのように二人を包む。お互いうつむき加減。

 
 何かを言いたそうなそぶりを見せるたくや。恥ずかしそうにして落ち着かない。

 
 「いや、みさこのほうが綺麗だよ」
 
 
 たくやは、少し照れながら、一方で狙いすましたように言った。いかにもカップルらしい会話。


 
 しばしの静寂。

 やがて光は途絶え、再び二人を暗闇が覆った。