君と一つ屋根の下






「た、多島くん、なんでここに?」



きっと顔が赤いだろう、そして少し声も震えてしまう。



「飯田が道に迷ってるっていうから、迎えにきた」



少しだけ乱れている呼吸で、肩で息しながら、優しく笑ってくれた多島くん。



莉桜は、多島くんを見つけて道を教えてもらって後でかけ直すって言ってたのに。



だけど、わざわざ来てくれたの?



「多島くんまで遅刻しちゃうよ!」
「大丈夫だって。ほら、行こ」



多島くんは、なんてことないように笑うと、自分の乗っている自転車の荷台を軽く叩いた。



ま、まさか…乗れと?
嘘、多島くんと?



「そんな、私重いって…」
「大丈夫だから。それに俺足はしっかり鍛えてるし。」



いくら多島くんがサッカー部のエースだとしても、躊躇いがないはずない。



だって、好きな人と二人乗りだよ?
重くないかとか、気にしちゃうよ。



それに、二人乗りなんて密着しすぎて恥ずかしいし…



「飯田、ほら早く。」
「う……」



躊躇いはあるものの、ここで私を乗せず多島くんを帰すのもなんだか失礼。



それに多島くんがいなくなるとかなり困る。
二人で歩くのも、多島くんに悪いし。



「俺じゃ不安?」
「ま、まさか!」



多島くんの少しトーンの落ちた声に慌てて首を横に振る。



えぇーい!
もう成るように成れ!



若干、やけくそになって失礼します、そう言って多島くんの後ろに乗る。