「あ…」
井崎さんの声が聞こえて、顔を手で覆いながら、振り向く。
ちらっと指の隙間からみると、井崎さんはまだ堂々と上半身を見せていた。
バッ、指の隙間を無くすようにする。
「…わりぃ、癖で」
どんな癖だ!
朝から心臓に悪いから。
「着てくるわ」
井崎さんはそういうと、階段をまた上っていく。
「…びっくりした……」
それにしても、無駄な肉もついてなければ程よい筋肉がついて引き締まってて…
って!
私は何考えて……
「あ、ちなみに卵焦げてるぞ。」
「っ!」
もう部屋に戻ったと思っていたから、あとなんか変な事考えてた事もあって異常に吃驚してしまった。
変な事って…私は変態か!!
「あ、」
そこで井崎さんの言葉を思い出して、フライパンを見る。
菜箸を拾い上げて、卵焼きの状態をチェック。
もう焦げ臭いからなんとなく分かってるけど。
「…最悪だ」
はぁと、ため息をつきながら真っ黒になった卵焼きをお皿に載せる。
ん?
私なんか忘れてる。
こんなゆっくりしてて…
「っ~~、学校!」
こんなゆっくりしてたら、絶対遅刻だ。