あれから、なんだかだいぶ打ち解けたような感じがして、車で帰る時も少しだけお話が出来たりした。
そこで得た情報は、彼が26歳ということと、誕生日が3月3日だということ。
『男の俺がひなまつりに誕生日だから、よくからかわれたりしたな。特に光に。』
なんて言ってたけど、すみません私も笑いをこらえるのが必死でした。
だって、井崎さんみたいな人がいわば女の子の日に生まれてるなんて、面白いじゃないですか。
家に着いてからは、特に何かあるわけじゃないけど、慣れない景色のせいかなかなか寝付けなかった。
ほとんど寝てないまま、朝が来てしまった。
今日は、学校があるのにこれじゃあ辛い。
朝ご飯はいらないという井崎さん。
私は、自分の分だけ朝食を作ることにした。
材料とかは、昨日帰りに買っていったんだけど、買うなら結局家で夕食でも良かったような気がした。
朝食の卵焼きを作っているとき、階段を降りてくる音がした。
ちなみに、階段を降りるとすぐ右にキッチンがある。
「井崎さん、おは……」
挨拶しようとしたけど、井崎さんの格好に驚いて固まってしまった。
カタン
驚きのあまり、菜箸が床に落ちる。
だって、だって井崎さんは…
「…は、は…は……」
「あ?」
上半身裸だから。
「あ…あの……」
慌てて目を逸らす。
男兄弟もいないし、彼氏なんていたことないし、免疫なんて全然ない。
きっと真っ赤であろう顔を抑える。
「ふ、服!服着てください!」