-コンコン
ノックをして、相手の出方を窺うが反応はない。
二度目、三度目とノックするがそれでも反応は全くない。
え、いない?
…そんなはずないよね、だってこの部屋に籠もったっきり出てきてないはず。
もしかして、私が部屋にいる間に出ていってしまったとか?
全然音なんかしなかったのに!
「なんなのよ、あの男」
「俺が何か?」
ボソッと呟くと、前からそれに応えるように声が聞こえて、恐る恐る顔をあげると、いつの間にかドアが開いて井崎さんが立っていた。
「わっ!」
まさかいると思ってなくて、吃驚してしまい、ちょっとよろけてしまった。
「人を化け物みたいに……、で、何か?」
相変わらず目つきは鋭い。
元々目つきが悪いんだろうけど、柄が悪い感じ。
「夕飯作りたいんですけど、食材も調理用具も足りないし…どうしましょうかと……」
「あぁー、」
井崎さんは、めんどくさそうに髪をくしゃとかきあげるとドアを閉めた。
井崎さんは、何も言わずに階段を降りていく。
「あ、あの…」
「………」
無視された…。
井崎さんは、そのまま玄関に向かうと靴を履いて、確実に出掛けようとしていた。
どこ行くの?
ってか私は無視?
外に出て行く井崎さんを見つめながらぼーっと立っていると、井崎さんは何かを促すように視線を送ってきた。
「?」
「飯、食いにいくぞ」
「へ……あ、はい」
