パラドックスガール

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「巻き込んでごめん。でもありがと玲央」


後ろからそう言って頭を離す。
躊躇いながら左手からも手を離そうとした時、


「っ、え」


玲央が逆手にあたしの右手首を掴んだ。
そのまま玲央はあたしを引っ張り、早足で歩き出す。


「玲央?!帰るんじゃ…」


声をかけるが返事はなくて。
足がもつれて、しっかり前に進めない。
前と、市橋君に告白された時と同じだ。
何?あたし何かした?


「玲央っ…っ!」


玲央の足が止まったかと思ったら、校舎の壁に押し付けられた。
そんなに強い力ではなかったが、ゴツゴツした壁相手では、やっぱり少し痛かった。


「れお…?」


左手であたしの手首を、右手を壁につけた玲央を呼ぶ。
うつ向いてるため、表情が確認できない。


「玲央、どうしたの?あたし何か…」


「好きな人」


「……は?」


あたしの問いや呼びかけに答えずに玲央が口にした言葉。
好きな人?


「茗子の好きな人って、誰」


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