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「茗子」


名前を呼ばれ、顔を上げてそちらを見る。


「お待たせ、大丈夫だった?」


こちらに寄ってきながら尋ねる玲央。
そんなに心配しなくてもいいのに。


「大丈夫だよ、ありがと玲央。」


窓際のスペースから降り、にこりと笑ってみせた。


「…っ、そっか…ならいいんだ。帰ろうか」


「うん」


あたしはうなづきカバンを取る。
玲央のそばに寄ると、玲央は慌てて後ろを向いた。


「玲央?」


「なんでもない。行こ」


不自然な玲央に首を傾げたが、彼があたしの手首を軽く掴んだのでそれに従った。


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