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かなり真剣な目で言われた。


「な、バカって」


「香坂君のこと好きって言ってるようなものじゃん」


「…は?」


凛子の唐突な言葉に、あたしは眉間に皺をよせ首を傾げる。


「どこをどう聞き取ればそこに行き着くの」


「どこをどう聞き取ってもそこに行き着くのよ。
だって考えてみなよ。
今泣きそうになってるのは、香坂君が冷たかったからでしょ?
いつもどうりに反応してくれたら安心したんでしょ?
要するに、束縛されてたかったんでしょ?」


「…」


体を乗り出して畳み掛けるように言う凛子に、あたしは黙る。
頭の中で、凛子が言ったことを巻き戻し、一言一言をゆっくり再生。
再生し終わった瞬間、あたしはリンゴやトマトよりも真っ赤になっていた。



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