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屋上手前の階段で、凛子は腕を組みながら、あたしは正座で向かいあっていた。


「―というわけです」


あたしは、朝あったことを詳しく、しかも敬語で伝えた。


「話はわかった。
で、なんでそんな顔してんの」


「…わかんないからこんな顔してんだよ。」


真っ正面から、でも少し小さくなりながらあたしは反論した。


「いつもの玲央なら速攻で告ってきた相手に嫌がらせ始めるのに。
今回はあたしが決めることだからって言って…。」


いつもの玲央を思い出す。
あたしを連れて相手に「茗子は僕のもの」宣言したり、ちまちまと嫌がらせをし続けたり…。
なのに。


「それで?それで泣きそうな顔してたの?」


凛子の問いに、あたしは小さく首を縦に振った。


「………」


「…そんな穴が開くほど見ないで何か言ってよ」


凛子の視線に耐えきれなくなって、あたしは睨むようにして文句を言う。
と、


「…あんたバカ?」



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