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■ 涙目の彼女











離れないで離さないで。









「茗子ちゃんごめんね、一緒に香坂君待ってられなくて…」


「大丈夫。ありがと珠希」


申し訳なさそうに頭を下げる珠希に、あたしは言った。
委員会のある珠希を会議室まで送って、「ばいばい」と手を振る。


「…ふぅ」


会議室の中に消えてく珠希の背中。
それが見えなくなると、あたしは小さく息を吐いた。

毎日のショートは挨拶だけで終わる。
よって他のクラスより早く終わる。
で、玲央を待つ時間が出来る。


「一人で待っているのは寂しいでしょう?」


そう言って一緒に待っててくれる珠希。
だが今日はいない。
さて、どう過ごそうか。




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