そう思っていたやさきに…
「ねぇ」
ん？誰？私の後ろから聞き覚えはあるけど最近聞いて無かった声がした。
私は振り返った
「えっ…」
…なんで？
なんで…あなたがここにいるの？私は驚きと少しの嬉しさで胸が高鳴った。
「奈莉、久しぶり
久しぶりに呼ばれる私の名前、そう目の前にいるのは…
「雄太じゃん…」
私の目の前には私の心の中からずっと消えない人物、私がずっと一途な想いを抱き続ける雄太だった。
「おう、」
でも、なんで雄太が私に…？
「何か…用事？」
私は喜びと疑問が入り混じった声で聞いた
「あー…あのさっ奈莉って美夜と仲良いーじゃん？」
えっ…？
美夜…？なんで美夜の名前が…
「あ…うん」
私の口からは弱々しくなった声が漏れた
「あー、でさっ！俺さ…美夜の事気になってんだよな…」
………。
なんで…？
訳わかんないよ…なにか心の奥で期待してた自分があほらしい…
私はただ下を向いて黙っていた。
「ごっごめんなっ！いきなりこんなこと言って…びっくりするよなっ！」
あっ…雄太が焦る声を聞いて我に返った。
「ごめんっ！いいよいいよっ」
私はすぐにそう言った。
そしたらニコッと微笑む雄太…その笑顔が大好きなんだよ…
「よかった…」
雄太はホッと安堵をついた。
「でっ！協力ならするよ！」
本当は、こんなこと言いたくない。美夜蹴落としてまで私の想いに気づいてほしい。
でも…ただ『嫌われたくない』その想いだけが嘘をつく勇気をくれた。
私がそう言うと雄太は満面の笑みに変わり本当に嬉しそうに私の大好きな笑顔で笑った。
「ありがとっ！奈莉最高っ！」
雄太はそう言った。
私は聞こえないくらいの小さな声で
「最高か…」
「ん？なんか言った？」
「ううん、なんにも」
なんにもないよ、雄太。
なんにもないから…
「そっか、よかった♪じゃあなっ」
雄太はそう言いながら私に背を向け美夜の方をチラッと見ながら教室を出て行った。