待ち合わせ場所の時計広場の近くに来て時間を見てみると、まだ約束の時間の十五分前だった。


 ちょっと早く来すぎたかもしれない。旬君はまだ来てなさそうだ。

 何か嫌だな……これこそ気合い入ってるみたい。


 時計広場が見える所まできて、そっちのほうを見てみた。


 え……?


 あたしの視線の先には、もう既に旬君が居た。

 ちょっと……早すぎじゃない?もしかして、あたしが時間を間違えた?


 まさかそんなことはないと思いながら、見ていると、どうも旬君は落ち着かない様子で、時計を見上げている。


 うそ!? まさか本当に間違えた!?


 あたしはそう思い、焦りながら走って旬君の所へ行った。



「旬君っ」

 あたしは思わず大きな声を出していた。


 旬君はすぐに反応してこっちに向いた。


「ナツ! おはよ!」

 旬君は、何でか満面の笑みで朝の挨拶をしてきた。


「ごめんっ……遅れちゃった?約束、十時だと思ってたんだけど……」

 あたしは、旬君とは対照的に、ものすごく慌てていた。


「え……? ああ、違うよ。俺が早く来すぎただけ。ナツは時間より早く来てくれたんだよ」

 旬君はあっさりとそう言った。


「なんだ……そうなの……」

 ほっとしたような……拍子抜けしたような……


 て、これじゃあたし、やっぱりデートに張り切って早くきたみたいになってる? ほんの十メートルぐらいだけど、走って来ちゃって……


 いやでも別に、実際に張り切ってたわけじゃないし、約束に遅れないようにするっていうのは当たり前じゃない。


 だいたい、この人一体どんだけ早く来てんのよ。