ミキと別れて一週間。

 俺は毎日バイトを入れて、働いているうちに、段々と立ち直ってきた。


 ショックでなくなったとか、そういうわけではないけど、確かにミキとこのまま付き合っていても、これからミキは大学生、俺は専門学校生なわけで、そのうち溝ができてしまっていたんじゃないかと思うようになった。


 今日は、六時から居酒屋でのバイトだ。

 ここのバイトは、少し時間が遅いけど、時給はそれなりにいいから気に入っている。


「いらっしゃいませー」

 やってきた客に、俺は声をかけた。


 入ってきたのは、OLっぽい感じの女の人だった。


 その人は、きれいな人だったけど、何だか暗い顔をしていて、黙ってカウンターの空いていた席に座った。



 その時は、特に何も思わなかった。


 まさか、この人との出会いが、俺の人生を左右することになるなんて、知る由もなかったんだ。